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真菌(いわゆるカビの仲間)によって皮膚に起こる疾患を皮膚真菌症といい、白癬は白癬菌が原因で生じる皮膚真菌症のひとつです。白癬菌はケラチンを栄養とするため、通常はケラチンの豊富な表皮の角質層や爪、毛包内角質や毛に感染し病変を生じます。白癬は罹患部位によって病名が異なり、足白癬(いわゆる水虫)、爪白癬(いわゆる爪水虫)、体部白癬(たむし)、股部白癬(いんきんたむし)、手白癬(手の水虫)などと呼ばれます。
足白癬の患者さんは、わが国においては潜在的には約2500万人(5人に1人程度)、爪白癬の患者さんは約1200万人(10人に1人程度)存在すると推定されています。
白癬の診断は顕微鏡で白癬菌を見つけて初めて可能となります。問診や臨床所見からその可能性が高いか低いかは推定できますが、けっして確定診断できません。白癬を疑ったらまずは当院で受診いただき、鏡検検査で白癬菌を検出することが大切です。

鏡検検査は5~10分程度で済む検査ですので、時間的にも大きな負担にはならないと思います。むしろ、正しい診断がなされぬまま、無意味に長期間、抗真菌剤を使用することの方が、皆様にとってのデメリットといえます。
以下の疾患は、臨床所見から推定がつくこともあるものの、鏡検検査にて白癬菌が検出されなかった際に鑑別すべき主な疾患です。
わが国では国民の10人に1人は爪白癬に罹患していると推定されており、患者の70%に足白癬などの他の白癬を合併しています。足白癬を未治療で放置していると、白癬菌は爪周囲から爪甲の下に侵入し、爪甲が白色~黄色に濁ってきます。やがて爪甲下角質が増殖して爪が肥厚し、更に増殖した角質がもろくなって脱落すると爪甲剥離状態(爪が浮いている状態)になります。初期は爪甲表面に変化はありませんが、進行すると爪甲変形が生じ、蛎殻様になることもあります。
外用の抗真菌剤は角層の奥深くには浸透しないため、爪白癬の治療は抗真菌剤の内服が原則です。内服療法は外用療法と違い、塗り忘れや塗り残しの心配がなく、日々の治療に要する時間や手間もかからないので簡便かつ確実な方法ですが、ごくまれに肝機能障害などの服作用を起こす可能性や、他の薬剤との相互作用に基づく併用禁忌、肝障害のある方には使用
できないなど、注意すべき点もいくつかあります。現在、爪白癬に保険適応となっている抗真菌内服薬全てを併せると治癒率は70~80%といわれています。
残りの20~30%は
などの理由があげられています。このうち、爪甲剥離状態になっているものは、各種の爪用の鋏やニッパ、ルーターを駆使して剥離している爪甲部分を切除することにより治癒率が向上する可能性もあり、丁寧な治療が必要と考えます。
わが国で爪白癬に保険適応がある内服抗真菌剤は、グリセオフルビン(griseofluvin)、イトラコナゾール(itraconazole)、テルビナフィン(terbinafine)の3種類です。
イトラコナゾールの長所は、
一方で短所は、
副作用は発現率7.9%で、消化器症状3.4%、肝胆道系障害2.0%(無症候性のAST、ALT上昇が多く、重症例は少ない)などが報告されています。
日本人は薬を毒と考える傾向があるようで、特に内服薬には抵抗感のある方もまだ多く、そのような方にとっては内服期間が短縮できるパルス療法は魅力的なようです。
テルビナフィンの長所は、
一方で短所は、
副作用は発現率11.3%で、消化器症状4.9%、肝胆道系障害3.7%、皮膚障害1.2%(薬疹など)、血液障害2.5%(汎血球減少など)などが報告されています。重篤な肝障害も報告されていますがその頻度は0.01%低く、総じて副作用は少ない薬剤といえます。
